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未来へ戻る

 私たちのハートが喜びと共感に満ちていたら、怒りや、恐れや、非難や、うっ積した怒りや、被害者意識あるいは私たちを悩ますネガティブな感情が存在する余地はありません。怒りたい人はいません。他人への嫉妬や恨みが良いことだと思う人はいません。私たちが自分のなかにそのような感情を見出したら、それを好ましくは思いません。たとえば、ネガティブな感情は感情的にも肉体的にも不愉快になりますし、それはそんな感情を追いやってしまうまで続きます。

 バックベンディングの練習がそれを助けてくれます。バックベンドは胸の中心にあるアハナタ・チャクラ(ハートのチャクラ)への入り口を与えてくれます。アナハタ・チャクラは私たちを傷つけた人たちとのカルマ的な関係を結び付けています。バックベンドする時、私たちはハート・センター(アナハタチャクラ)へアクセスして、私たちを傷つけた人たちとの関係を表面へと浮かび上がらせるのです。それはとても怖いことでもあります。なぜなら私たちは自分の中にあるネガティブさの根源に直面するのですが、それがあるのはいつも自分を不当に扱っていると感じている他人のなかにあるのではないのです。私たちは先に自分の内面にあるものだけを自分の外側に見ることができるのです。世界に存在するものは全て自分の心の投影なのです。私たちが過去に他人をどのように遇したかが、他人が私たちを遇する方法につながっています。ですから、自分の苦しみのことで他人を非難することは賢いことではありません。その代わりに、私たちは許し、愛をもって前向きになるべきです。マーチン・ルーサー・キングJr牧師はこう言いました”私は愛を持って進むことにしました。憎しみは運ぶにはただ重たいだけの荷物なのです。”バックベンドは胸骨の背後で喉の直ぐ下にある胸腺を刺激します。胸腺は私たちの免疫システムにおいて重要な役割を持っています。それは私たちが暗い感情に惑わされている時は抑圧されてしまいます。胸腺を刺激することは私たちの免疫システムを効果的に働かせ、健康に寄与します。私たちの肉体的、精神的、スピリチュアルな健康は共に紡ぎ合わされています。

 バックベンドをすることに対する障害は落下への恐怖であり、それは死に対する恐怖でもあります。落下への恐怖は本能的なものであり、克服はとても困難です。恐怖は安全性を計る目安です。それは危険に対する警告であり、自分を守るための精神的なリアクションをするきっかけでもあります。腸腰筋は背骨の前部から腰骨を通り、大腿骨と繋がっています。腸揚筋はフォワードベンドなどで臀部の柔軟性に最も重要です。恐怖は、腸揚筋が体の前部を通り、内臓を守るという役割から生じています。恐怖が習慣的なものになると、私たちの文化では起きやすいことですが、腸揚筋は柔軟性を失い、そしてバックベンドは怖くて難しいものになります。でも知性を持ってバックベンドの練習を繰り返すことで、腸揚筋は伸びるようになり、私たちのハートはネガティブな感情から開放されて段々と恐怖を感じなくなってくるのです。

 バックベンドは慎重に練習しましょう。バックベンドの前に、太陽礼拝で背骨の準備運動をしましょう。脚の筋肉を伸ばすことも大事なことです。一連の立位のアサナをしっかりとグラウンディングして、脚に集中して練習しましょう。体の後ろ側の筋肉を伸ばすことは痙攣と背中の痛みをを予防するためにフォワードベンドをするもの良いでしょう。フォワードベンドはバックベンドを安全に行う前にする十分な準備運動となります。シルシャーサナ、ピンチャマユラーサナ、アドムカ・ヴリクシャーサナなどの逆転のアサナもバックベンドの前に済ませるべきです。バックベンドのシーケンスはブージャンガサナ、シャラバーサナという穏やかなアサナからはじめるべきです。それから中程度の難しさのダヌラーサナ、ウシュトラーサナを行い、そしてカポターサナやウルドヴァ・ダヌラーサナなどの難しいアサナを最後にシーケンスの最後に行うのです。そしてフォワードベンドとバックベンドをシーケンスの中で交互に行わないことが重要です。なぜならバックベンドは背骨を体の内側に押し込み、フォワードベンドは背骨を体の外側に押し出すからです。バックベンド全部をグループにまとめて、フォワードベンド全てと分けてから両方をグループにまとめることでより穏やかに安全になります。

 バックベンドに対する理解を深める上で必要なことは、練習の間に呼吸を決して止めないことです。呼吸は力強く、穏やかに、そして持続的であるべきです。そしてあなたが練習している間、心に高い集中力を保つことがポジティブな結果を生み出すのです。バックベンドの間に高い集中力を保つことの例は、あなたが怒りを感じているその人に向けて、息を吸いながら”祈りと愛を”と言い、息を吐きながらその人の名前を呼ぶことです。これを声に出さずに行うのがベストです。

 バックベンドにより、私たちは未来へと到達できます。ハートを開くにつれて、私たちは他の人々を許し、自分を犠牲者と見なさなくなります。私たちは許すことで、私たちを真の自然、愛から隔てていた痛みを癒やすことが出来ます。犠牲者であることと、悟りを得た存在であることは両立できません。そのどちらを選ぶかは私たち次第です。練習によって、私たちは冒険、怖れのないこと、喜びを抱き、信頼があり、共感を持ち、そして愛のある、悟りへと繋がった生へと前進することのできる果てしない力を成長させることができるのです。

—Sharon Ganno
日本語訳 AKKIE