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非暴力とヴィーガニズム 2009.11

ahimsa-pratishthayam tat-sannidhau vaira-tyagah (PYS II.35)
あなたが他の存在に危害を加えなくなるとき、他の存在もあなたに危害を加えることはなくなる。

ヨガスートラでパタンジャリ師は私たちに”ヤマ”と呼ばれる五つのヨギーとして行うべきことを勧めています。それらは私たちが悟りへ到達したいのであれば、どのように他の存在を扱うべきなのか教えています。最初の”ヤマ”は”アヒムサ”で、それは”非暴力(危害を与えないこと)”を意味します。シュリ・ブラフマナンダ・サラスワティ師は、”非暴力(危害を与えないこと)”とは”全ての生きとし生けるものへ向けられる害悪を、常に、あらゆる方法で断つこと”と説いています。ヨギーは他の存在に対する危害と苦しみが最も少なくなるように、できる限りのことをするのです。

コンパッション(他の存在に対する共感・共苦)はアヒムサの重要な要素です。コンパッションによって、あなたは、あなた自身が他の存在と共にあると見なし始めるのです。コンパッションは私たちの心に、外見の違いを超えて見るように教えるのです。あなたは他の存在の内面的な要素、それが幸福・喜びである要素を垣間見るようになります。あなたは、全ての生きとし生けるものが幸福を求めていると考え始めるのです。あなたが、牛たち、豚たち、鳥たち、そして同様に人間の食べ物として育てられている動物たちも、あなたと同じように幸福を求めていると判るとき、あなたと動物たちは同じ魂を持っていると認めるのです。あなたとほかの存在達との違いは、あなたの意識が判り始めるにつれて消え去るのです。

私たちは、人生において既に起きてしまった苦しみを変えることはできません。しかし、将来起きる苦しみを避けることはできます。他の存在に対する苦しみをなくすことは、いつか、でも必ず、私たち自身が苦しみから自由になることに役に立つのです。私たちは、他の存在に対して危害を加えることをやめることが、その他の存在のためにだけするのであって、自分自身のためにはなっていないと、誤解するかもしれません。ほとんどのヴィーガン(※1)でない人達は、ヴィーガンは肉、乳製品や卵を食べることを無理に我慢することで、それらを食べる楽しみを自らに禁じているのだと見なしてさえいます。しかし、あなたが、カルマがどのように作用するのか、ヨーガがどのように作用するのか理解するとき、今あなたが他の存在をどのように扱うかが、将来あなたがどれだけ苦しむか、あるいはどれだけ楽しむかを決めるのだと理解し始めるのです。
肉、魚、卵そして乳製品を食べることに関して言えば、苦しみは健康問題、例えば心臓病、脳卒中、あるいは癌としてすみやかに、関連性を持って起こるのです。しかし、カルマの種もより一層、全ての種と同じように時間と共に育ち、芽を出し、成長するのです。ある人には、自分自身の、他の存在に危害を加えるような行動が、すぐには結果を生まないように見えるかもしれません。事実、今私たちが植え付けた負の種は未来の転生まで実を結ぶことはないでしょう。

※1 菜食主義者で、かつ乳製品、卵、蜂蜜など動物由来のものを避ける。食生活だけでなく、ファッションなどのライフスタイル全てにおいて革製品等を使わない。

動物たちを奴隷とし、命ある限り拷問により虐待すること、彼らの尊厳をおとしめ、そして最後には殺して解体処理することで、私たちは動物たちから自由と幸せを奪っています。私たち自身の人生が、私たちは人生において最も尊重するのは幸福を追求する自由だと言うまさにその人生が、他の存在を虐殺することに根ざしている時、どのようにして自由と幸福を願うことができるのでしょうか。もしあなたが人生に平和と幸せをもたらしたいなら、その方法は他の存在の生に暴力と不幸をもたらすことを止めることなのです。私たちは、私たち自身が具体化したくないことを要求することはできないのです。

ヨーガとヴィーガニズムの練習を通して、私たちは全ての他の動物たちと全ての生命との調和を持って生きられるようになると認識するのです。私たちは、私たちの肉体が、恐怖を他の存在に注ぐことなく、また彼らを殺すことがなければ、より良く機能すること、そして植物と太陽から直接摂ることができない必要栄養素はないのだと判るのです。私たちの古い体は、光り輝き、完全で聖なる体、平和をもたらす乗り物として使える体に変化させることができると判るようになります。その分かれ道は、大量破壊のための強力な武器になり得るし、もしくは平和共存に向けた運動(ムーブメント)への道具ともなり得るのです。コンパッション(共感・共苦)を持ったヴィーガン的食生活は、戦争を止め、人の肉体に平和を、動物の国に平和を、地球に平和を作り出すでしょう。

-シャロン・ギャノン 著書Yoga and Vegetarianismより
日本語訳 Akkie