November.gif

ブラフマチャリアとヴィーガニズム

brahmacharya-pratishthayam virya-labhah (PYS II.38)
性的なエネルギーを適切に用いるなら、健康で持続的な生命力を得ることが出来る。(ヨーガ・スートラ第2章第38節)

 ヨーガ・スートラの中でパタンジャリ師は、私たちにヤマと呼ばれる5つの勧告を与えて下さっています。それは私たちが悟りたいのであれば、どのように他の存在を遇するべきかということです。4つ目のヤマはブラフマチャリアであり、それが意味するのは”性にまつわる創造的なパワーを敬い、他の命ある存在の性を操るために悪用してはいけない”ということです。ブラフマチャリアは神に至る道であり、宇宙の創造的な本質に至る道なのです。ブラフマチャリアはしばしば”禁欲”や”貞節”と誤って訳されることがありますが、それはこのヤマをどのように実践すべきか考えるに当たって沢山の誤解を生んできました。ブラフマチャリアを実践すると言うことは、肉体的そして精神的な力の本質である性的なエネルギーのポテンシャルを理解すると言うことなのです。

 性的なエネルギーが賢く用いられるなら、それは(他の存在と自分との)分離を乗り越える方法となるのです。性的なエネルギーが他の存在を食い物にしたり、操ったり、侮辱するために用いられるなら、それは私たちをより深い断絶と無知(アヴィディヤ)へと向かわせるでしょう。人類はこのような行為を当たり前のように他の生物を農場へ閉じ込めることで繰り返してきました。動物たちの性を操るということは、私たちの文化に深く根付いており、それは繁殖の技術、遺伝子操作、去勢そして人工授精、動物の女性達を強制的に妊娠させ、彼女たちの子供達を悪用するということに現れており、全てが畜産業というカテゴリーに該当します。

 工場のような農場にいる動物たちは、彼らの種族同士で普通の性生活を営むことができないのです。閉じ込められている動物たちのほとんどが異性と会うことも出来ません。工場的な農場で生まれた全ての動物たちは人工授精された母親から生まれています。その母親達は妊娠することが出来なくなるまで、なんどもなんども、繰り返し強制的に妊娠させられ、終には殺され解体され、食べられることになるのです。精子提供者として選ばれた動物の男性は、繰り返し性をもてあそばれ、常にフラストレーションにさらされて生き、そして最後は女性達と同様に殺され解体されるのです。このような行為は、動物たちに対して暴力的で、ひどいことで、そして侮辱的なだけでなく、このような仕事のために雇われて農場で働いている人の人間性をも失わせるのです。これらの動物たちが日々性をもてあそばれているということは、私たち人間が属してきた自然界、そして美と奇跡に満ちた生から、いかに切り離されているかに現れています。

 肉を食べると言うことは、女性問題であるとも言えます。女性の権利を信じるのであれば、動物の女性達が母乳、卵、赤ちゃんの為に不当に扱われることを許すことも、サポートすることもできないはずです。もし女性達が平等に扱われるべきだと思うのなら、女性の自由を求める要望を、生物の種や信仰に関係なく全ての女性達を対象に広げなくてはなりません。ヨーガ教師である私たちが他の命ある存在に行うことは、究極的には私たち自身にしていることなのです。もし私たちが他の生物種の女性達が持つ権利を尊重できないなら、どうして人類の女性達が悟ることができると期待できるのでしょうか。

 肉や乳製品を食べると言うことは、自己を貶める病の現れです。肉を食べる、乳製品を取るというふたつの行為は、よりセクシーに、より若く、より健康に、そしてより強くなるために、自然が与えてくれた物を人が支配することができたどのような形態であれ、乱用し消費しなけらばならないという間違った考えから来ています。実際は、真実は全く逆なのです。肉や乳製品を長期間に渡って摂取することは、沢山の健康問題を引き起こします。それは心臓病、性的不能、脳卒中、そして癌です。パタンジャリ師が明確におっしゃっているのは、健康と生命力はブラフマチャリアを確立した人、つまり性に対して尊厳を持って遇する人にもたらされるということです。

 ブラフマチャリアの実践を行うと言うことは、動物たちを支配することに依存している、私たちの文化の根底に対する挑戦です。私たちがヴィーガニズムとブラフマチャリアについて語る時、私たちは確実に急進的な性の革命について語っているのです。

-Sharon Gannon, adapted from Yoga and Vegetarianism

________________________________________________________

Focus of the Month Teaching Tips
Brahmacharya and Veganism (November, 2011)

 他の命ある存在の性を私たちがどのように扱うかに関わる問題、そして私たちが食生活(また他の方法)を通して他の命ある存在へ引き起こしている苦痛へとアサナの練習を集中させるのです。私たちはスワディヤーヤ・チャクラ、マニプラ・チャクラとの繋がりを強化する、前屈、ヒップオープニング、そして捻りのポーズを含めたシーケンスを組めるでしょう。私たちは自分たちが食べてしまったり、他の方法で不当に扱った動物たちにフォーカスしたマントラを用いることでアサナの効果を強化することが出来ます。マントラは息を吸う時に心の中で”利己的な私と引き起こした苦痛を許して下さい。”そして息を吐く時に心の中で”私が本当は誰なのか、あなたたちが本当は誰なのか知らなかったことのせいで。”あるいは、このマントラの他のバリエーションでも良いでしょう。

 私たちは生徒さん達に対して考えを示すことが出来ます。それは彼らの生で今経験している性的あるいは創造的な達成に関する全てのフラストレーションや問題の根源が、自分が他の存在をどのように遇しているかを良く考え直すことにより見つかると言うことです。おそらくほとんどの人が、もし他の存在の性を操るなら、それは私たち自身の性的な満足と(あるいは)健康を得られるかどうかに影響があるという考えを受け入れることが出来るでしょう。でも、一体誰がその考えを他の動物達にまで広げて考えるでしょうか?今月のフォーカス・オブ・ザ・マンスは農業ビジネスにおける動物たちに対するひどい扱いにフォーカスしています。

 教師として、この問題を取り上げる時には生徒さん達に対して心を広く持って下さい。多くの人が他人に対して親切で共感を持つべきという考えを受け入れることが出来ます。でも、それを他の動物たちにまで広げると言うことは、多くの人にとってとても新しい考え方なのです。それでも、ジヴァムクティ・ヨーガ教師としての私たちのメッセージに取ってとても大事なことです。そして私たちは繋がりを持つための知識を求めにやって来る生徒さん達を助けなくてはなりません。私は明確に、そして真っ直ぐに、生徒さん達の大きな助けになるように考えます。生徒さん達に、彼ら自身の健康は他の動物たちの健康に依存しているのだと話して下さい。私たちがしたことは、いつかは必ず私たちに返ってきます。ヴィーガンになるということは、全ての存在にとってより健康的で、より幸せで、そしてより創造的な世界に貢献することです。私たちに批判的な人はこう言います。”こんなにも沢山の人が世界中で苦しんでいるというのに、動物虐待の話ばかりというのはどうしてなんだい?”あなたはこう答えましょう。”なぜって、それは私が苦しみの根本原因をとりあげようとしてるってこと。”

 この問題に光を当てることで、あなたは、人の間に蔓延して増加するレイプ、児童虐待、離婚、蔓延する病気、それらと食べられるために育てられた全動物の間に蔓延するレイプ、児童虐待、家族離散そして蔓延る病の間に沢山の相関関係を示すことができるでしょう。

 他の存在の幸せを犠牲にして、自分たちの幸せを願うことはできないのです。

-Sharon Gannon
日本語訳 AKKIE